ヒンメリの他にフィンランドならではのクリスマス飾りはありますか?
フィンランドの田舎に行くと、麦わらで編んだクリスマスリースがあります。フィンランドは麦わら、日本は稲わらですが、このリースは稲わらで作られた日本のお正月飾りによく似ています。麦わらで編んだリースはフィンランド独自のものですね。他にも麦わらで作った人形やトナカイをクリスマスツリーの下や窓際に飾ったりします。
クリスマスツリーやヒイラギなど、トゲトゲした常緑樹がクリスマスには用いられますね。
クリスマスツリーにはモミやトウヒといった常緑樹が使われています。冬の間も緑を保つ常緑樹は強い生命力、永遠の命の象徴です。モミやトウヒが使われる理由はもうひとつあって、これらの木の樹形は左右対称で、キリスト教の宗教理念である三位一体を表す三角形に見えるからなんです。クリスマスの約1ヶ月はヨーロッパでは“闇の期間”とされていて、悪魔が夜中に好きなことをやっていい期間だといわれています。日本では節分に鬼除けのためにヒイラギといわしの頭を玄関に飾りますが、クリスマスツリーのトゲトゲはそれと同じ感覚かもしれません。ヒイラギもクリスマスツリー同様、継続する命の象徴ですね。ヒイラギのトゲトゲは、イエスが磔にされたとき頭に被らされたいばらの冠を連想させる=イエスの復活、永遠の命を連想させるようです。
フィンランドはロウソクの消費量が世界一だそうですが、これもクリスマスに関わりがあるのでしょうか。
そうですね。フィンランドではクリスマスにロウソクを灯す習慣があります。現在ではクリスマスツリーは電球で装飾されていますが、昔は電球ではなく、ロウソクを使用していました。
え、それは燃えてしまうのでは?
その通りで昔は火災が多発していました。昔のクリスマスカードを見ると、クリスマスツリーの横にたくさんのバケツが置いてある絵柄がありますよ。エジソンがペッパーランプを発明してロウソクから電球に変わりましたが、暗い冬の時期、フィンランド人にとって灯りを確保することはとても重要なことでした。同じく燃料の確保も重要で、燃料となる丸太もクリスマスのアイテムとして欠かせません。この丸太のことをユールログ(ユール=ヨウル)といいますが、ユールログを燃やして得る灯りは世の中を照らす光の象徴となっています。クリスマスにお馴染みのブッシュドノエルはこのユールログをお菓子で表現したものです。