ピンクーシリーズの、それぞれに込めた思いやメッセージを教えてください。
いつも、各絵本の冒頭に献辞を書きます。このメッセージは、常にその絵本のテーマと関係があり、各絵本の中で私が敬意を表する人々への献辞なのです。
例えば、『ピンクー にじのでるばしょ』は、皆同じであることを強いる社会や、異なる人々を排除し差別する社会で、違いを感じることについて取り扱った絵本です。
どんな状況で違いを感じるに至ったかに関係なく、「ピンクー」のように感じたことのある全ての人々へ贈りました。
『キイロドリ ゆめをかなえる』では、フリーカルチャー運動について言及しました。
なので、このトリが、世界を旅しながら彼の発明品をみんなに共有したように、自由に自分の知識を共有する人々にこの絵本を捧げました。
『ゲコゲコミツメ ふるさとのいけ』では、環境活動家のように、私たちの地球を守ろうと戦っている全ての人々に敬意を表しています。
『アオモンのながいうで』は、暴力的な振る舞いに直面した時に、相手の言葉に耳をかたむけ、対話することを大切に思い、そのように行動する人のための絵本です。
そして、『ゴロゴロリン ぼくは なにもの?』では、自分で自分の名前を決める人々へこの絵本を捧げたいと思いました。そして、この絵本は、近年ヘイトスピーチによって傷つけられてきた、全てのトランスジェンダーの人々への絵本です。
シリーズ作成にまつわるエピソードはありますか?
この10年間、ピンクーシリーズと多くの経験をしてきました。
私の本が世界中で展開されたおかげで、様々な国を旅し、様々なカルチャーを学ぶことができました。私の本をよく見ると、それぞれの作品で、自然はより豊かになり、より多くのニュアンスを持っていることがわかります。私が訪れた場所の木々や風景を、少しずつ自分のイラストに取り入れていったのです。
最近は、ブックフェアで15〜16歳の子たちが私に会いにきて、子供の頃に私の絵本を読んでいたと伝えてくれると、とても嬉しくなります。時間はあっという間に過ぎ、私の読者たちはもうティーネイジャーになり始めています。
この数年間、残りのキャラクターたちの物語を描けたのは、読者である子供たちのおかげです。
ピンクーシリーズは世界中で人気ですね。シリーズに関連したイベントやプロジェクトなどはありましたか?
私の本が、他の芸術分野に刺激を与えたこともありました。スペインでは、ある劇団によって、私のキャラクターたちからインスピレーションを得た舞台が制作さましたし、また韓国では、あるミュージシャンや歌手の団体が、ピンクーシリーズの物語にインスパイアされたコンサートを、韓国の伝統的な楽器を用いて開催したりしました。
ピンクーシリーズはこれで本当に終わってしまうのですか?
はい。『ゴロゴロリン ぼくは なにもの?』をもって、私は10年間続いたこのシリーズに終止符を打ちました。
私にとってピンクーシリーズはこれで終わりですが、今では、たくさんの子どもたちが、『アオモンのながいうで』の最後のページに出てきたサボテンのキャラクターのような、サブキャラクターたちの物語について尋ねてきます。ですので、今後どうなるかは、まだ誰にもわかりません:)
オルガ・デ・ディオス
スペイン、サン・セバスティアン出身、マドリード在住。子どものころから、絵を描きつづけ、エスクエラ・デ・アルテ・ヌメロ10にてイラストレーションを学ぶ。2013年アピラ新人絵本賞(アピラ・プリメラ・インプレシオン賞)を受賞して出版された『Monstruo Rosa 』は、アウレリオ・ブランコ賞や中国上海国際児童書展(CCBF)の国際優良絵本部門で金のかざぐるま賞を受賞し、2014年『ピンクー にじのでるばしょ』 (ワールドライブラリー)として出版された。
他の作品に『キイロドリ ゆめをかなえる』『ゲコゲコミツメ ふるさとのいけ』『アオモンの ながいうで』(ワールドライブラリー)『Cuéntos clásicos para chicas modernas』、『BUSCAR』(どちらも未訳)がある。